単純性膀胱炎はどんな病気?
排尿痛・頻尿・尿意切迫感・残尿感・下腹部痛・尿の混濁が一般的な症状としてみられる病気が膀胱炎で、血尿が出ることもありますが発熱は見られても軽度です。
尿路感染症の一種で細菌により発症するものが多くて、単純性膀胱炎と複雑性膀胱炎に分類されています。
単純性膀胱炎は20~40代の性的活動期の女性に多く発症しますし、閉経後の女性も女性ホルモン低下で、膣の常在菌の乳酸菌が減少して直腸内の細菌が侵入しやすくなるので罹患する傾向が強いです。
原因菌としては、グラム陰性桿菌である大腸菌が約70%を占めていて、プロテウス菌・肺炎桿菌・腸球菌などもあります。
一方の複雑性膀胱炎は、下部尿路の基礎疾患によって尿流が妨げられたり、長期間カテーテルが留置されたり、全身状態の低下などが原因で発症するのです。
排尿を妨げる基礎疾患としては、前立腺肥大症・神経因性膀胱・膀胱結石などが考えられます。
目に見えるような特異的な症状は一般的に乏しくて、慢性的に膿が混じった膿尿と細菌が混じった細菌尿の症状がみられる場合が多いのです。
ただ基礎疾患が悪化した時には、急性腎盂腎炎などを併発して重篤になることも考えられるため、注意が必要と言えます。
原因になる菌は単純性膀胱炎と同じくグラム陰性桿菌が多いですが、患者の約半数は複数の菌に感染しているのです。
特にカテーテル留置中は、緑膿菌・メチシリン耐性ブドウ球菌・拡張型βラクタマーゼ産生菌などの薬剤に対して耐性を持つ菌もよくみられます。
なぜ圧倒的に女性が多い?
単純性膀胱炎は細菌が原因で膀胱内の粘膜に炎症を生じる病気ですが、先にも触れたように性別で見ると圧倒的に女性が多いです。
その為、一生のうちに膀胱炎を経験しない女性はいないといわれるほどで、何度となく再発を繰り返している女性も少なくありません。
なぜ単純性膀胱炎が女性に多いのかというと、性別による体の構造が深く関係しているのです。
女性の尿道は男性の約5分の1程度しかなく長さは3~4cm程度と短いため、尿道口についた細菌が簡単に膀胱まで達してしまいます。
また尿道口が腟と肛門のすぐ側にあることから、排便や性交渉などで尿道口から細菌が侵入しやすいのです。
それから性別による違いではありませんが、過労・睡眠不足・風邪など体の抵抗力が低下している時に起こりやすいので注意が必要になります。
いずれにしても単純性膀胱炎は女性に多く発症すると認識して、何らかの気になる症状がみられる時は早めに泌尿器科を受診することが大事です。